不動産価格の売り出し価格の決め方とは?パターン別5つの方法を解説

売り出し価格は不動産会社による査定価格を参考に、不動産会社と相談の上で決定することが基本です。
売り出し価格をいくらにするかは売主の自由ではありますが、売り出し価格は安過ぎれば損をしますし、高過ぎれば一向に売れないという失敗を招きます。
そのため、不動産売却で失敗を防ぐには、しっかり査定を取って適切な売り出し価格を決めることが重要です。
そこでこの記事では、売り出し価格を決める流れや、売り出し価格の決め方について紹介していきます。
価格の種類と用語の意味
最初に、価格の種類と用語を7つご紹介します。
それぞれの用語と意味を理解していきましょう。
1.相場価格
周辺の類似物件の代表的な価格のことです。
物件の個性によって成約価格は相場価格よりも上回ったり下回ったりします。
2.売却希望価格
相場価格とは、売主が売りたいと思う希望の価格です。
希望通りに売れるとは限らないため、売却希望価格と売り出し価格は異なります。
3.最低売却価格
いくら以上で売りたいという最低水準の売却希望価格のことです。
住宅ローン残債や次の物件の購入に必要な頭金等の兼ね合いから決まります。
4.査定価格
3ヶ月程度で売却できると予想される価格のことです。
売り出し価格を決めるために査定価格を取得します。
査定価格はあくまでも予想価格ですので、売却を確約するものではありません。
5.売り出し価格
実際に売りに出す価格で、チラシやインターネット広告に記載される価格のことを指します。
基本的には査定価格をそのまま売り出し価格とすることが多いです。
6.購入希望価格
購入希望者が買付証明書に記載してくる価格です。良い物件は売り出し価格と同額であることが多いです。
売り出し価格より低い金額が記載されている場合は、値引きを要求しているということになります。
7.成約価格
実際に売却が決まった価格であり、売買契約書に記載される金額のことです。
値引きが無ければ売り出し価格がそのまま成約価格となります。
値引きがあれば成約価格は売り出し価格よりも下回ります。
売り出し価格を決める流れ
価格の種類と用語の意味を理解したところで、売り出し価格を決める流れを確認します。
売り出し価格を決める流れとしては、以下5つの手順が一般的です。
売り出し価格を決める流れ
- 住宅ローン残債の把握
- 最低売却価格を決める
- 不動産の査定依頼
- 査定価格の説明を受ける
- 売り出し価格の決定
1.住宅ローン残債の把握
まず、住宅ローンが残っている物件を売却するには、住宅ローン残債の正確な数値の把握が最初のステップです。
2.最低売却価格を決める
次に、最低売却価格を決めておきます。
最低売却価格は、住宅ローン残債や、次の物件の購入に必要な頭金等、売却や買い替えの資金計画に基づいて決めます。
予め決めておくことで、売り出し価格を下げる時や購入検討者より価格交渉があった場合に冷静に判断できます。
3.不動産の査定依頼
3つ目に、不動産会社に査定を依頼します。
査定価格は3ヶ月程度で売却できると予想される価格のことですので、売り出し価格を決めるにあたり最も重要な情報となります。
4.査定価格の説明を受ける
4つ目として、不動産会社から査定額の説明を受けるステップがあります。
参考とした取引事例や、プラスの要因、マイナスの要因等を説明してくれます。
査定額の説明は売り出し価格を決定する上でとても参考になりますので、しっかりと聞くことをおすすめします。
5.売り出し価格の決定
最後に、査定価格を参考に売り出し価格を決定します。
査定額の説明に納得感があれば、そのまま査定価格を売り出し価格にして大丈夫です。
不動産売却全体の流れについては、こちらの記事をご確認ください。
種類別にみる売り出し価格と成約価格の差
次に、マンションや戸建て、土地の種類別にみる売り出し価格と成約価格の差を紹介します。
公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」(2019年)によると、過去10年における売り出し価格と成約価格との差の推移は下図の通りです。
グラフ中のパーセントの数値は、売り出し価格に対する成約価格の割合を示します。
売り出し価格に対する成約価格の割合は、10年平均を取るとマンションが「99%」、戸建てが「80%」、土地が「93%」です。
マンションでは、売り出し価格がほぼ成約価格となっています。
戸建ては、売り出し価格より2割くらい下がった価格が成約価格です。
土地は、売り出し価格より1割くらい下がった価格が成約価格となります。
マンションは、成約価格が予想しやすいという特徴があり、査定価格をそのまま売り出し価格にしても、ほぼ成約価格となります。
よって、マンションは査定価格をそのまま売り出し価格にすることをおすすめします。
一方で、売り出し価格の決定で一番難しいのは戸建てです。
戸建ては売り出し価格と成約価格の差が2割も生じてしまうため、多くの方が高過ぎる売り出し価格を設定しているものと思われます。
高過ぎる売り出し価格が多い理由は、査定価格が高過ぎるものが多いことも理由です。
戸建ての場合は、できれば複数の不動産会社に査定を依頼し、一番高い価格は見送って真ん中くらいの査定額を売り出し価格とすることをおすすめします。
売り出し価格の決め方5つのポイント
それでは、実際に売り出し価格を決める際のポイントについて見ていきましょう。
売り出し価格の決めるためのポイントは、以下の5つになります。
売り出し価格の決め方5つのポイント
- 査定価格をそのまま採用する
- 早く売りたいときは最初から価格を下げる
- 時間に余裕があるときはチャレンジ価格を設定してみる
- リフォーム物件は相場よりも価格を上げる
- 住宅の性能等の証明書類を取得しているときは価格を上げる
1.査定価格をそのまま採用する
売り出し価格の決め方で最もおすすめなのは、査定価格をそのまま売り出し価格として採用する方法です。
査定価格はそもそも適正な売り出し価格を決めるために取るものですから、査定価格をそのまま売り出し価格とするのが最も失敗の確率が低い安全な決め方です。
特に、マンションについては査定価格の精度は高いため、査定価格をそのまま売り出し価格とすることをおすすめします。
2.早く売りたいときは最初から価格を下げる
早く売りたいときは最初から価格を下げるという決め方もあります。
不動産の売却に要する期間は、3ヶ月程度が一般的ですので、1ヶ月程度で売りたい場合には少し価格を安くすることが必要です。
1ヶ月程度で売りたい場合、査定価格から1割くらい下げた金額が目安となります。
仮に2割下げてしまうと、買取の売却価格と同程度となります。
買取とは、不動産会社が直接買主になる売却方法であり、短期間で売却すること可能です。
早期売却を希望であれば、最初から買取を利用することも検討しましょう。
不動産会社に査定を依頼すれば、買取価格を提示されます。
買取価格は、仲介会社が提示する査定価格とは異なり、不動産会社の購入希望価格となっています。
マンションであれば、実績豊富なスター・マイカの買取サービスがおすすめです。
また、買取について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
「買取価格までは下げたくないけれども、仲介でそれなりに早く売りたい」といった場合には、査定価格から1割程度下げた金額が売り出し価格の目安となるでしょう。
3.時間に余裕があるときはチャレンジ価格を設定してみる
時間に余裕があるときは高めのチャレンジ価格を設定してみるという決定方法もあります。
最初は少し高めの価格からスタートし、売れなかったら段階的に価格を下げていく方式です。
不動産の売却では、買主に物件が知れ渡るまでの一定の周知期間が必要です。
一定数の買主に周知されるには、2~3ヶ月の期間を要します。
高めのチャレンジ価格で設定すると、当初の3ヶ月間は全く売れない可能性もあるため、売却期間に十分な余裕がある人に向いている売却方式です。
チャレンジ価格といっても高過ぎると時間を浪費するだけなので、チャレンジ価格は不動産会社の意見を聞きながら決定することをおすすめします。
4.リフォーム物件は相場よりも価格を上げる
リフォーム物件は相場よりも価格を上げて売り出し価格を決定します。
リフォーム物件の売り出し価格は、「リフォームにかかった費用」に着目するのではなく、市場に合わせて「売れる価格」で決定することがポイントです。
例えば、リフォームしないまま売却すると3,000万円の物件があるとします。
リフォーム費用に600万円かかったとしたら、少なくとも3,600万円で売却したくなります。
ところが、リフォーム物件は必ずしもリフォームにかかった費用を満額回収できるわけではないので、3,300万円くらいにしかならないことがあります。
この場合、3,300万円が「売れる価格」に該当します。
「売れる価格」を知るには、不動産会社から査定を取ることが必要です。
不動産会社の査定価格は、基本的にリフォームを前提に「売れる価格」を出してくれます。
ここでは対象のエリア内で、対象の物件よりも築年数が新しい物件た、設備が良い物件の事例を参考にしています。
リフォームにかかった費用の回収にこだわり過ぎると売れなくなる可能性があるため、リフォーム物件は査定価格をベースに売れる価格に軸足をおいて決定することがコツです。
5.住宅の性能等の証明書類を取得しているときは相場よりも価格を上げる
こちらもリフォーム物件と同じく、売り出し価格を上げて設定することもできます。
価格アップに繋がるような検査や診断には以下のようなものがあります。
価格アップに繋がるような検査や診断
- 既存住宅に係る建設住宅性能評価書(等級0評価のものは除く)
- 耐震診断結果報告書
- 瑕疵(かし)担保保険の保険付保証明書
- 建物状況調査(インスペクション)の結果報告書(過去1年以内に実施されたもの)
既存住宅に係る建設住宅性能評価書
建設住宅性能評価書とは、建物の「現況検査により認められる劣化等の状況」や「個別性能に関すること」を専門家が検査して評価する書類です。
耐震診断結果報告書
耐震診断結果報告書とは、新耐震基準に適合していることを証明する書類になります。
昭和56年(1981年)5月31日以前の建物は旧耐震基準と呼ばれます。
旧耐震基準の建物でも、耐震診断結果報告書によって新耐震基準並みの耐震性が証明されれば、新耐震基準に適合している建物として「住宅ローン控除の利用」や「登録免許税の軽減」等の税制優遇を受けることができます。
瑕疵担保保険の保険付保証明書
瑕疵担保保険とは、売却後、物件に瑕疵(キズのこと)が発見された場合、その補修費用の一部を保険料でまかなうことができる保険です。
瑕疵担保保険が付保されている物件であれば、一定期間の築年数(木造一戸建てなら20年、マンションなら25年)を過ぎた物件でも、「住宅ローン控除の利用」や「登録免許税の軽減」等の税制優遇を受けることができます。
建物状況調査(インスペクション)の結果報告書
建物状況調査(インスペクション)とは、専門家による建物の目視や計測等の調査のことを指します。
インスペクションに合格し、かつ、新耐震基準を満たした物件であれば、瑕疵担保保険を付保することができるようになります。
これらの書類は、いずれも物件の価値を上げる書類です。
物件にもよりますが、価値を上げる書類がある場合には、通常の価格よりも目安として5%~10%程度高めに売却できることもあります。
証明書類等に基づいて高めの価格を設定する場合には、専門知識を要しますので、不動産会社と相談しながら売出価格を決定するようにしましょう。
早期売却を希望ならスター・マイカの買取サービスがおすすめ
前章でご紹介した買取サービスであれば、マンションをすぐに売却することが可能です。
早期売却したい場合や、仲介を利用しているがなかなか買い手が見つからず売り出し価格を下げようか検討している場合は、買取を検討するのも良いでしょう。
この章では、スピーディーに現金化できるスター・マイカの買取サービスについてご紹介します。
スター・マイカの買取のポイント
- マンション専門に累計11,000件以上の豊富な買取実績があります。
- 実績に基づく独自のデータベースにより迅速・正確な査定が可能です。
- 築年数の古いマンションもリノベーションマンションの素材として高く評価します。
スター・マイカでは、独自のデータベースによる正確な査定で、9割超のお取引で最初の机上価格またはそれ以上の価格で実際に買取を行っております。
築年数が古い、地方にある、設備が故障しているなど、一般的な仲介による売却では買い手がつきづらい物件であっても積極的に買取が可能です。
マンション買取をご検討の方は、ぜひ一度、スター・マイカにご相談ください。
査定はもちろん無料です。
まとめ
以上、不動産価格の売り出し価格の決め方についてご説明してきました。
売り出し価格は、不動産会社の査定額を元に決めるのが基本です。
売り出し価格と成約価格の差は、マンションや戸建て、土地によって異なります。
売却する物件の種類に応じて、成約価格との差を意識しながら売り出し価格を決定することがコツです。
売り出し価格を決める際は不動産会社に相談し、買取も視野に入れて検討していきましょう。
お電話はこちら
0120-503-070
営業時間/9:30~18:30
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