不動産の相続で揉めないポイントとは?相続税の仕組みを基礎から解説

不動産は現金のように簡単に分割することができないことから、相続の際にトラブルに発展することが少なくありません。
無用なトラブルを回避するためにも、相続にはいろいろな方法があることを知りましょう。

ここでは、不動産の相続に関する基礎知識や、相続税の計算方法などについて解説します。

不動産の相続に関する基礎知識

相続とは?

相続とは相続人が被相続人(亡くなった方)の現金や不動産(土地・建物)、有価証券などの相続財産を被相続人から引き継ぐことです。
どのような割合で相続財産を分けるのかは、法定相続分として定められています。
例えば、相続人に配偶者と子がいる場合には、配偶者には2分の1、子どもには2分の1で、さらに子どもの人数で分割されます。具体的に計算すると、妻と子ども3人がいる家庭では妻は2分の1、子どもは6分の1ずつとなります。なお、子どもがいない家庭で親がいる場合は親が1/3、配偶者が2/3となります。また、子どもも親もいない場合には兄弟が1/4、配偶者が3/4となります。

法定相続分は必ずその割合で分けないといけないわけではありませんが、相続税額を決めるときや、相続人同士の話し合いで合意しない場合の法律上の目安となります。
なお、相続財産の中に不動産が含まれていると、簡単に1/2に分けることもできないことから、その取り扱いについては慎重に考える必要があります。

不動産を相続する主な方法

不動産を相続する方法には「現物分割」と「代償分割」、「共有」、「換価分割」の4つがあります。
1つ1つ確認していきましょう。

─ 現物分割
例えば、妻と子どもが3人いる家族で、遺産分割協議の結果、長男が1人で不動産を相続するようなケースです。
不動産は高額な資産となることが多いので他の相続人が不平を感じないよう他の相続財産を割り振るなどの配慮が求められます。

─ 代償分割
代償分割は不動産を相続した相続人が、ほかの相続人に対して金銭を支払う方法です。
例えば、妻と子ども3人いる家族で、長男が不動産を相続して、その代価として他の相続人に対して長男から金銭を支払います。

代償分割は相続人がまとまった金銭を持っている必要があります。

─ 共有
不動産を共有状態で相続する方法で、妻と子ども3人いる家族で、子ども達3人で1/3ずつ不動産を共有するようなケースのことを指します。

ほかに金銭など用意する必要がないため、相続としては比較的簡単です。

しかし、共有状態では不動産を売却したり賃貸したりするのに他の共有者全員の承諾が必要となります。また、子どもの子どもに相続が起こると誰が所有者か分からなくなったり、売却するのが大変だったりと相続後の取り扱いが問題となることが多いので注意が必要です。

─ 換価分割
換価分割は、不動産は分割するのが大変なので売却して現金にしてから、相続人で分割します。
妻と子ども3人いるような家族で、不動産を3,000万円で売却できた場合、妻に1,500万円、子ども達に500万円ずつ分割するといった場合です。
最終的に現金で分割するため、比較的、話を進めやすい方法です。また、換価分割すると不動産もなくなるため、固定資産税の支払いや不動産のメンテナンスやリフォームなどの管理が不要となる点もメリットだと言えるでしょう。

不動産の相続時に行うことと必要な書類

不動産を相続するときに行う手続きと、そのときに必要な書類についてお伝えします。

不動産を相続するときに行うこと

相続が発生した後は以下の順に手続きを進めていきます。

相続発生→被相続人の財産の把握→相続人同士で遺産分割協議→遺産分割協議書の作成→相続登記手続き

名義変更(相続登記)

不動産の相続後、被相続人から相続人に名義人が移ったことを登記(名義変更)する必要があります。これを相続登記と言います。
なお、名義変更は義務ではありませんが、済ませておかないと、以下のような問題が発生する可能性があります。

─ 不動産を売却したり担保にして借金したりすることができない
相続の話し合いがまとまっても、相続登記をせず放置しておくと、その不動産を売却したり、不動産を担保にしてローンを利用したりすることができません。

─ 第三者に不動産の所有権を主張できない
相続登記することで第三者に対して不動産の所有権を主張できるようになります。相続登記を済ませておかないと、場合によっては架空売買などトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。

─ 相続人に所有権が移ると相続登記が困難になることもある
相続登記をしないままの状態で相続人のうちの1人に相続が発生したとき、その相続人が複数人だった場合、元の相続登記をする際に新しく発生した複数の相続人の協力が必要になってしまいます。

相続登記をしないまま、そのことを忘れて数年〜数十年経ってしまうと、いざ売却したり住宅ローンの担保に入れたりするときに相続登記が非常に困難になってしまう可能性があります。

相続税の計算

相続財産の総額が、基礎控除額を超えたときは相続税を納める必要があります。
基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)で、例えば妻と子どもが3人いる家庭では3,000万円+(600万円×4人)で5,400万円となります。

相続財産の合計が1億円であれば、5,400万円を差し引いた4,600万円が課税の対象となります。

この4,600万円を法定相続分で分けると、以下のように計算されます。
・妻 4,600万円×1/2=2,300万円
・子 4.600万円×1/6=767万円

相続税では課税価格ごとに税率と控除額が定められており、それぞれの計算結果に応じて税率と控除額を掛け合わせます。例えば課税価格が2,300万円であれば税率は15%、控除額は50万円。767万円であれば税率は10%、控除額は0円です。
・妻 2,300万円×15%-50万円=295万円
・子 767万円×10%=76.7万円

なお、実際には配偶者の税額控除(1億6,000万円)があるため妻の納税額は0円となります。

相続登記の必要書類

相続登記の際には以下のような書類を揃える必要があります。

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票(除票)
・相続人の戸籍謄本/相続人の住民票
・遺言書(被相続人が遺言を残した場合)
・遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書)-遺言書通りに相続する場合は不要
・登記簿謄本
・不動産の固定資産評価証明書 など

なお、相続登記は司法書士などの専門家に依頼したほうが良いでしょう。

不動産の相続にかかる税金

不動産の相続時には、以下のような税金を納める必要があります。

不動産を相続するとかかる主な税金

不動産を相続すると相続税と登録免許税、固定資産税等を納める必要があります。

─ 相続税
相続財産の総額が基礎控除より大きかった場合、各人の取得額に応じて相続税が課されます。計算方法についてはすでにご紹介した通り、相続分に応じた税率や控除額が適用され、納める税額が決められます。

─ 登録免許税
相続登記をする際に登録免許税を支払う必要があります。相続登記時の登録免許税は相続登記する物件の固定資産税評価額の0.4%です。

例えば、3,000万円の不動産の相続登記であれば3,000万円×0.4%=12万円となります。

─ 固定資産税等
不動産を相続すると、翌年から固定資産税や都市計画税を支払う必要があります。

相続した不動産を売却・賃貸した場合にかかる税金

相続した不動産をさらに売却したり賃貸したりすると税金を支払う必要があります。

─ 相続した不動産を売却したときにかかる税金
例えば、相続した不動産を売却して利益がでると譲渡所得税に該当します。不動産の譲渡所得税の税率は所有期間によって異なります。
所有期間が5年以下の場合には短期譲渡所得とされ39.63%、5年超の場合には長期譲渡所得とされ20.315%です。
また、不動産の売買契約書には印紙を貼って印紙税を納めなければなりません。

─ 相続した不動産を賃貸したときにかかる税金
相続した不動産が賃貸収入のある物件だった場合、または相続してから賃貸に出した場合には、不動産所得として計上し、給与所得などと合算して所得税を支払う必要があります。

不動産を相続する際に押さえておきたいポイント

不動産を相続する際には以下のようなポイントを押さえておきましょう。

遺産の分け方について相続人全員で話し合う

相続について話し合うことを遺産分割協議と呼びます。相続人全員の意思統一を図り、慎重に話し合うようにしましょう。

なお、遺産分割協議は1カ所に集まって行う必要はなく、メールや手紙でやり取りを行う場合もあります。

不動産の共有はなるべく避ける

不動産は、相続人が決まるまでの間は一時的に共有状態となります。
共有状態である場合、不動産を売却する場合には共有者全員の同意が必要となるなど、自由に不動産を活用できなくなります。

また、共有持分を持つと、共有持分者の中の誰かに再び相続が発生することで不動産に関わる人が増えていってしまうこともあります。不動産の相続時には、代償分割や換価分割など共有でない方法で不公平がないように遺産を相続するとトラブルが起こりにくくなります。

換価分割では直接買取が便利

換価分割では相続した不動産を売却して得た現金を相続人で分割しますが、その際には不動産会社による直接買取が便利です。

一般的な仲介による売却では、売却価格を高くできる可能性がありますが、売却が決まるまでどのくらいの期間がかかるか分かりません。相続発生後にスムーズに売却するには、短期間での現金化ができる直接買取がオススメです。不動産会社が直接買取ので案内の対応がなく、状況交渉もスムーズです。相続が発生する前に買取を依頼して現金化することも検討しましょう。

なお、詳細については不動産会社の担当者や税理士、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

不動産の相続について知識をつけてトラブルを回避しよう

不動産の相続は現金のように簡単に分割できないことから、その取り扱いについて慎重にしなければ、後にトラブルに発展してしまうことが少なくありません。

不動産の相続に関しては、現物分割、代償分割、共有、換価分割の4つの遺産分割の方法があります。
共有のままにしてしまうと後々のトラブルに発展しやすいため、他の方法を検討したほうが良いでしょう。不動産を残すか残さないか、誰が相続して代償金を支払うのかどうかなど、相続人全員の意見を一致させることが大切です。

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